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第二十八話 薬商人ジル・サルヴァの取引

last update publish date: 2026-09-12 22:43:37

 子供が消えた夜の翌朝、屋敷の空気は変わっていた。

 誰も大声を出していない。

 廊下を走る者もいない。

 使用人たちは普段通りに盆を持ち、扉を開け、茶器を下げる。

 だが、静けさの質が違う。

 昨日までの静けさは、ノエルを驚かせないための静けさだった。

 今日の静けさは、誰かの悲鳴を待っているような静けさだった。

 セレスティアは、その空気が嫌だった。

 ノエルも察する。

 子供は、こういう空気を大人が思うよりずっと早く吸い込む。

 だから朝食の席では、できるだけいつも通りにした。

 卵は半分。

 スープは三口多め。

 硬いパンは、今日はスープに浸さず皿の横。

 犬のパンは机の下で、セレスティアの靴紐を狙っていた。

「パン」

 ノエ
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